奨学金とは言え、貸与型は借金ですし…

子どもや若者の声を取り上げる「君の声が聴きたい」という、NHKのプロジェクトに関連した番組の一つを見ました。その中で、将来に対するお金の不安を挙げていた女性を取材していました。彼女は大学進学を控えている学生さん。自分のスマホ代等はアルバイトで捻出しているそうで、貸与型の奨学金を申し込むか悩んでいるようです。番組の中でフィナンシャルプランナー(FP)を訪ねて、将来に渡るお金のシミュレーション「家計のキャッシュフロー表」を作成してもらい、数字として可視化してもらっていました。

 

不安や怖いという感情は、分からないという状態が要因の一つだと思います。ですから、漠然としたお金の不安を軽減するために、現状の整理(家計のバランスシート)と、将来に渡るシミュレーション結果(家計のキャッシュフロー表)を作成するのは、正しいと思っています。

 

ただ、取材を受けていた女性もそうですが、家計のキャッシュフロー表を見るだけでは、不安は軽減されません。

 

なんでもそうですが、現状と目標とのギャップを確認→ギャップが生じる要因・課題認識とその分析→対策の立案とその実行→対策の評価という流れが必要なんだと思います。何か問題があるから不安や焦りが生じるんですよね。お金に関しても同じで、不安を抱く要因を知るための、現状把握(家計のバランスシート)とシミュレーション(家計のキャッシュフロー表)だと思います。家計のバランスシートとキャッシュフロー表で可視化したら、そこから何が問題なのかを認識し、対策を立てる(さらには実行に移す)までして、やっと不安が軽減されます。そして、FPは対策案を考えてくれるところまでをしてくれています。お金に関してはかなり長期的な話なので、目標とのギャップを放っておくと、そのギャップがどんどん広がってしまうことも往々にしてあると思います。逆に、ギャップを少しでも縮める対策が実行できれば、長期的にみるとギャップがかなり小さくなることもあるように思います。

 

キャッシュフロー表は、シミュレーション。不確定要素が多いほど、現実味がない仮定が多いほど、不安要素が残ります。なので、定期的に家計のバランスシートと合わせて更新し、その変化を見るのも大事なんですね。

 

さらに、対策も現実味がないと、やはり不安。実行するのにしんどいと、できませんものね。例えば、使途不明金を減らしましょうとか、言うは易く行うは難し。どうして使途不明金が出てしまっているのか、そこを掘り下げないと、対策とは言えない。この掘り下げには、個々人のお金の使い方を観察する必要があるので、FPとの信頼関係が重要になると思います。

 

冒頭の女性、大学進学を控えた学生さんでした。大学卒業後の進路も、生活ぶりも、変動幅が大きすぎて、シミュレーションの現実味も湧かないし、対策を考えるところまで至らなかったので、不安はそのまま残ってしまいますね。残念。

 

最近は、高校の授業で家計のシミュレーションをしています。精度はさておき、シミュレーションを経験することで、お金がどんな風に流れるのか、イメージがつくだけでも、将来の不安に怯えるだけでなく、何か対策を考えようという前向きな気持ちになれれば、良いですね。

 

進学を控えた学生さんは、給付型の奨学金がもらえると、将来の返済義務も発生しないですし、気が楽です。給付型の奨学金って種類が少ないし、貸与型よりも要件が厳しいので、なかなか選択肢にあがらないかもしれませんが、あきらめずに探してほしいです。

 

ちょっと給付型奨学金を調べていたら、DAISO財団というところが月5万円の奨学金を4年間給付するという、大学生向けの奨学金制度を設けているようです。あの100円ショップのDAISOが作った財団のようです。100円の品物で利益を出すのって大変なんじゃないかと思うんですが、給付型奨学金制度を設けるなんてすごいなぁと思ってしまいました。毎年、9月ごろ募集がかかるようです、

daiso-zaidan.or.jp

 

他にも、新聞奨学金制度というのもあります。これは、ずいぶん前からあると思います。新聞配達等の仕事をすることで、給付型奨学金を受けられる制度です。

ad8.jp

 

大学進学後には、大学からも奨学金の案内があると思います。成績がよければ、大学から給付される奨学金なんかもあります。

 

ちょうど、政府も給付型奨学金の拡充を検討しているようです。

www3.nhk.or.jp

 

奨学金とは言え、貸与型は借金です。「借金は将来の自分からお金を借りる仕組み」とも言えますが、将来、自分がどうなっているか分からない学生さんには、かなり勇気がいります。返済義務のために、将来の選択肢が狭まってしまうかもしれないですし。

 

給付型の奨学金が、今よりも多くの人が利用できるようになるといいな、と思います。給付型奨学金だけで、多くの若い人の将来に対するお金の不安が軽減されるわけではないですが、一つの救いになるのではないかと思いました。