自分のキャッシュフロー表を作ってみよう

キャッシュフロー表を知っていますか?
キャッシュフロー表とは、現在から未来にかけてのお金の流れをシミュレーションしたものです。つまり、家計のキャッシュフロー表を作成すると、(ある程度)家計の未来を予測できます。


これが何の役に立つのかと言うと、将来の金銭的な不安を解消するための、最初の一歩になるんです。不安を感じる一つの要因は、分からないこと。将来、何にどのくらいお金が必要なのか。今の延長線で何とかなるのか、それとも、対策を打つ必要があるのか。分からないことだらけの未来でも、ある程度、確実性のあるシミュレーションをすれば、リスクを認識し、事前に対処しやすくなります。そのための家計のシミュレーションが、家計のキャッシュフローを作成することで叶います。

 

我が家の家計のキャッシュフローを初めて作成したのは、子供の誕生がきっかけでした。しかも、自分でではなく、保険外交員に作成してもらいました。それまで、生命保険に加入していなかったのですが、キャッシュフローを基に必要な金額を見積り、生命保険に加入しました。

 

その後、FP資格取得の勉強をしている時に、家計のキャッシュフローを作成したことがあり、意外と簡単に、自分でも作成できることを知りました。

 

いくつかの質問に答えると、簡易的にシミュレーションしてくれる便利ツールも、ウェブ上にはいくつかあります。銀行のサイトにもあったりしますし、金融庁のNISA特設ウェブサイトにもあります。

 

www.fsa.go.jp

 

支出や収入の増減を詳細に見たり、シミュレーションの条件を細かく変えてみたいのであれば、自分で作成する必要があります。ただ、これも出来合いのフォーマットを使うのが楽です。日本FP協会の「便利ツールで家計をチェック」というページから、「家計のキャッシュフロー表」としてPDF版とExcel版のファイルが公開されており、無料でダウンロードできます。これを使うと、20年後までのキャッシュフロー表を作成できます。

 

www.jafp.or.jp

 

日本FP協会のページに書き方の見本も記載されています。また、インターネットで調べると、色々なページにも書き方が書いてあります。たとえば、以下のページにも、書き方が丁寧に書いてあります。

www.foresight.jp

 

ここにも、日本FP協会のHPからダウンロードしたファイルを例に、簡単に書き方を載せます。以下の説明では、対象の箱の位置は、Excelのセル表記と同じ方法で書いています。(つまり、A列は一番左の縦の列。1行目は、一番上の横の行)

  1. A列(の丸かっこ()の中に家族の名前を書き入れます。
  2. B列に家族の現在の年齢を入れます。1月を基準に記載することも多いのですが、自分で決めた月(たとえば4月)を基準に書いてOKです。
  3. セルB6(現在と書かれたセルの一つ上のセル)に今年の西暦年が入っていると思います。今年分からシミュレーションするのであれば、そのままでOKです。キャッシュフロー表の始まり年を昨年にしたければ、昨年の西暦で上書きしましょう。セルB7以降は自動的に変更されます。
  4. 13行目に家族のライフイベントを書き入れます。家族のライフイベントとは、子供の誕生や独立などの家族構成が変わる時期、子供の入学時期、自分の定年など人生の節目となる出来事です。つまり、お金の流れが大きく変わるイベントを書きます。家族のライフイベントを書き終えたら、同じく、13行目にまとまった出費(たとえば車の買い替え、家族旅行、耐久消費財の買い替えなど)の予想時期も書いておくと良いです。
  5. 次に、収入の欄(14行目から16行目)を埋めます。14行目から16行目までを記載すると、17行目の「収入合計(A)」は自動的に計算されます。
    セルB14, B15にB6に記載した年の(予測の)手取り年収を書きます。単位は万円です。年間の手取り収入が550万円であれば、550と書きます。C列以降は、これまで毎年どのくらい手取りが増えたかを手掛かりに、予測値を書いていきます。
  6. 16行目の「一時的な収入」には、退職金など不定期な収入を書いていきます。ここまでで、20年分の収入の予測ができました。
  7. 次は18行目から24行目の支出を埋めていきます。収入の時と同様に25行目の「支出合計(B)」は自動的に計算されます。
    また、支出の各項目にどのような費用が含まれるのかについては、上で紹介した「キャッシュフロー表とは?わかりやすくFP解説」を参考にすると良いです。
    一時的な支出の欄は、ライフイベントを手がかりにすると書きやすいと思います。
  8. 最後に、セルB27の貯蓄残高を記入します。これは、前年度の貯蓄残高を記入すればOKです。C列以降は自動的に計算されます。

 

書いてみてちょっと難しいところは、やはり、ライフイベント毎のお金の出入りをどのように見積もるかです。インターネットで調べてみるといろいろと統計データが出ているので、それらの値を参考に書いても良いと思います。

たとえば、教育費に関しては、文部科学省から公開されている子どもの学習費調査が参考になります。

www.mext.go.jp

 

将来もらえる公的年金額は、厚生労働省公的年金シミュレーターを利用するのが良いと思います。「ねんきん定期便」を用意しておくとスムーズです。生年月日を入力後、「ねんきん定期便」の内側のバーコードを読み込むと、これまでのデータが反映されて、シミュレーションされます。受給開始年齢を遅らせると、どのくらい年金がアップするのかもわかります。「ねんきん定期便」が見つからない場合は、働き方・暮らし方を埋める必要があるので、ちょっと手間がかかります。「ねんきん定期便」はお誕生日月に届くので、それを待ってシミュレーションしてもいいですね。厚生労働省使い方ガイドも参考にしてください。

nenkin-shisan.mhlw.go.jp

 

そしてもう一つ、難しいのが、変動率です。日本FP協会からダウンロードできるテンプレートの下の方に

「本来、キャッシュフロー表を作成するときは物価上昇や運用利回りを考慮した金額を記入しますが、ここでは記入しやすいように変動率をゼロとしています。」

と記載があります。これは、物価上昇による支出の増加分や、運用利回りによる貯蓄残高の増加分は、このテンプレートファイルでは考慮しておらず、これらの増加分はゼロになっている、ということです。

 

支出の変動率は、家計簿等をつけていれば、そこからの予測できそうですね。この辺りは、また、考察してまとまったら書いてみようと思います。