高齢の親に傷害保険は必要か?

義母が、金融機関から傷害保険に加入するように勧められたようです。
自宅の階段の昇降時や自転車での外出中など転倒して怪我をするかもしれないし、勧められた保険に入った方がいいかしら、と思ったようです。年齢を重ねるといろいろと心配ですからね。
でも、当然ながら、高齢になると月々の保険料も高額になります。年間2万円と聞いて、ちょっとその金額にびっくりしてしまいました。そんな金額になっちゃうのかと思って、ネットで調べてみたのですが、そもそも75歳を過ぎると、新規加入でできる保険が限られてしまうんですね。

「どうせ掛け捨てならお安い共済で」と思って、最初に都民共済の障害保障型共済のページを見てみました。

www.tomin-kyosai.or.jp

 

月々1,000円で保障期間は85歳までですが、加入できるのは満69歳まで。

75歳からでも入れます、みたいな保険のCMを時々TVでも見ますが、そういう意味だったのね。納得。

 

種類が限られるのはよくわかったけど、そもそも傷害保険って入る必要あるのかしら?傷害保険もいろいろありますが、基本的には、交通事故や不慮の事故による「自身の入院や通院」「死亡や重度障害」に対して保険金が支払われますが、そこに、プラスアルファの保障があったり、なかったり。プラスアルファの保障としては、個人賠償責任が多いように思いますが、高齢者向けの保険の中には、ケガにより家事ができなくてホームヘルパーを頼むことを想定して、ホームヘルパーにかかる費用なども補償してくれる保険もあるようです。

 

死亡時保障は、生命保険に入っているなら、傷害保険に入る理由にはなりません。

 

「自身の入院や通院」に対する金銭面での不安を解消するという観点であれば、公的保険の高額療養費制度というものも役に立つ制度です。高額療養費制度については、厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/content/000333280.pdf)にもその説明があります。

金融庁が解説している公的保険のページからもたどることが可能です。

www.fsa.go.jp

 

高額療養費制度とは、(毎月1日から末日までの)1か月間に、(ケガに限らず)医療機関(病院・薬局など)の窓口で支払う医療費が上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。なお、複数の医療機関での自己負担額を合算して、申請することもできます。

年収に応じて、上限額が異なりますが、70歳以上の場合、適用区分が一般となる年収156~約370万円であれば、外来での支払い金額上限は一人当たり18,000円/月となります。独り暮らしであれば、ここまでの話になりますが、同一世帯の同一医療保険に加入している家族が、窓口で支払った支払った金額を合計に対しても、上限額が設定されています。70歳以上で適用区分が一般の場合には、世帯上限額は57,000円となります。つまり、自分ひとりの窓口支払い金額が18,000円に達していなくても、家族と合算することで57,000円を超えた分は高額医療費の支給額となります。

高額医療費が支給対象は「医療に関わるもの」かつ「保険適用される診療が対象」となっているため、入院中の食事や居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは支給対象にならないようです。

また、申請から支給まで3か月程度かかるようです。そのため、一時的には高額な医療費を支払う必要があります。ただ、入院などであらかじめ上限額を超える窓口負担が発生することが分かっている時には、「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」というものを、加入している医療保険から事前に交付してもらえば、窓口での支払いを負担上限額に抑えることができるようです。

「自身の入院や通院」という点であれば、

  • ケガを治療する間月額18,000円程度を支払える金銭的余裕があるかどうか
  • 申請から支給まで3か月程度必要なことから、高額療養費制度の上限額を超える窓口支払いが一時的に可能かどうか
  • 入院するほどのケガをするリスクをどのように見るか
  • 入院した場合の差額ベッド代等を支払える金銭的余裕があるか

などが傷害保険加入の判断材料になりそうです。

 

では、プラスアルファで個人賠償責任特約が付く場合はどうなんでしょうか?
他人への賠償金が高額になる場合も多々あるので、保険に入っている安心感はありそうですね。
ただ、これは他の保険に特約で入っているかどうか確認する必要がありそうです。
たとえば、車を運転する人は人身事故を補償対象とした自賠責保険に入っているはずです。その他に物損事故等も考慮して保険に入っていれば、傷害保険の個人賠償責任特約にそれほど魅力はないかなと思います。
また、都内で自転車に乗るのであれば、対人賠償事故に備える保険に加入することが義務付けられています。

www.tomin-anzen.metro.tokyo.lg.jp

 

そのような保険との違いを把握したうえで、検討するのがよいと思います。

最終的には本人の判断にお任せなのですが、結論としては、義母の場合、傷害保険に年間2万もかけて入る必要性は高くないのではないかと私は思いました。